2011/12/10

もうちょっと頑張ってみては?


某府大阪市某区で見た注意書。

『ふたつめのカギをかけましょう!』
鍵1つじゃ当局もお手上げらしい..。

捉え方に依ったら
盗られてもカギ1つしか附けてない方が悪い、みたいな。
「もう、無理っ!」

と、警察署長が音を上げる絵が容易に浮かぶ。
『�かけましょう!』って、完全に(そういう方針)やんか。
そんなこと言わずに、(もうちょっと頑張ってみます)
的な意気込みは欲しいものです。

にしても、
苦渋の決断の末、だったのだろう。
署長、副署長、交通課長あたりが集まって...

副署長「...署長、何とかお考え直しを」
署長 「だって無理じゃん」
副署長「いや、もう一度だけ。君からもお願いして」
課長 「そうですよ署長、我が署は諦めたと市民に思われ..」

署長 「いや、だって無理じゃん!もう無理だって!」
副署長「そこを何とか投げ出されずに」
署長 「失敬だな!君は。投げ出したって何だよ、人聞きの悪い..」
副署長「これは失礼しました!さっ、君からも謝って」
課長 「失礼しました...(な、なんで???)」
署長 「理想も良いがな、現実を視るのも大事なんだよ、現実を」

副署長「はぁ...」
署長 「俺はな、理想を追い過ぎて死んでいった奴をごまんとみてきた」
課長 「…」
署長 「可愛いお前達が死地に向かうのをどうして見過ごせる?」
副署長「...署長、実は私も同感なんですよ、鍵1つじゃ足りない事に」
署長 「そ、そうなのか?だ、だってさっきまであんなに..」

副署長「いえ、だって無理ですもん。切りないですもん」
署長 「...だよなぁ」
副署長「問題は署長、語尾なんです」
署長 「語尾?」
副署長「あくまでニュアンスの問題なのですが」
課長 「署長、『�かけましょう』は完全に署全体の方針を意味し..」
副署長「ニュアンス的に、我が署が自転車盗難に敗北したに等しく」

署長 「潔くて良いだろう」
副署長「いや、潔さはこの際考えずに」
課長 「署長、是非ご再考を!我が署の沽券に関わる事なのです!!」
署長 「何だねいきなり...大きい声出すなよ」
副署長「署長、交通課長の言う通りに御座います」
署長 「じゃあさ、どうすればいいの?」
副署長「ですから署長、あくまでニュアンスなのです、問題は」
課長 「署の実感としては、鍵1つじゃ盗まれても仕方ない、と」

署長 「まあ、課長がそこまで言うなら私は従うが..」
課長 「ちょっと署長!だって最初署長が...冗談キツいっすよ」
三人 「ハッハッハッハッ(抱腹絶倒)」
副署長「署長、やはりニュアンス的に」
署長 「ニュアンス的に何だ?」
副署長「鍵1つだけじゃ足りないよ、と」
課長 「でも当局も頑張るよ、みたいな」
副署長「『警察も一緒に頑張るよ』ってのが必要なんです」
署長 「そ、そうなのか?」

副署長「ニュアンス的にはアドバイス的な」
署長 「アドバイス的な」
課長 「そういうエールみたいなものが、今はウケるんです」
署長 「エールねぇ..」
副署長「あと、」
署長 「もういいよ」
副署長「は?」
署長 「だからもういいって」
副署長「署長.」
署長 「君たちみたいに体裁ばっか考えてる奴はもういいよ」

副署長「て、体裁ですか?」
署長 「私はね、将来的に鍵2つを強制的につけさせる!」
副署長 「は?」
署長 「そう考えてんだよ」
副署長「...」
署長 「君達は色々文句言うだけで大したアイデアもって来ないで」
課長 「署長、お言葉ですが」
署長 「うるせぇこのやろう」
副署長「署長、どうか落ち着いて」
署長 「鍵2つって決めといたらアリバイにもなるだろ!」
課長 「それも体裁でしょう」
署長 「貴様誰に口きいとんのじゃ!」
副署長「課長、誰か呼んで来てください!署長がご乱心を」

課長 「わかりまし..」
署長 「行かせるか」
課長 「ぎゃっ!!!!」
副署長「あっ、課長!」
署長 「死んではおらん、峰打ちじゃ。まあ聞け、副署長」
副署長「...」
署長 「副署長よ、今一番大事なのはな、何だと思う?」
副署長「いや、私めには全く..」
署長 「今一番大切なのは、全体を見ることだ」

副署長「ぜ、全体をですか?」
署長 「大局的な視点だよ。さっきから君たちが口にしてるのは」
副署長「..」
署長 「結局警察と市民、いや警察の事だけだ」
副署長「ごもっともで」
署長 「お前は鍵屋の事を考えたことはあるか?」
副署長「か、鍵屋ですか?」
署長 「鍵2つが規則化されたらどうなる?」
副署長「いえ、さっぱり」

署長 「考えん奴だな。まず市民の成長だよ」
副署長「成長、ですか?」
署長 「きゃつらは学習しようとしない馬鹿だ」
副署長「といいますと?」
署長 「鍵1つで盗まれて泣きついてはまた盗まれて、また泣きつく」
副署長「確かに」
署長 「鍵1つで盗まれるのなら2つにすればいい」
副署長「仰る通りで」

署長 「それをせんのだ。いわば官製の市民教育だ。次に」
副署長「はっ」
署長 「次に我々」
副署長「..警察」
署長 「鍵2つにしたら、そりゃ盗難も減るだろう」
副署長「ですが署長、それはやってみないことには」
署長 「いや、減るんだよ。私の推測は外れたことがない」

副署長「はぁ」
署長 「減ったらどうだ?」
副署長「といいますと?」
署長 「人員を他に割ける、ということだ。無駄削減だ」
副署長「署長、そんな事まで..」
署長 「我々は市民の税金で生かされてるのだ。公僕たらねばな」

副署長「さすが署長!」
署長 「次に、鍵屋が、儲かる」
副署長「はっ?鍵屋?」
署長 「鍵2つ!すると鍵1つのいままでより売上も倍だろ」
副署長「ですが、特定の業界の利益につながる...」

署長 「もう貰っちゃったんだよね」
副署長「は?」
署長 「だから、貰っちゃったの!もう引き返せないの」
副署長「署長、これが世に明るみになれば我々どころか警察..」

署長 「またお前は。だから大局を見ろっての!」
副署長「いや、署長」
署長 「市民と鍵屋と警察3者が得して、誰も損しない!!」

副署長「だから!」
署長 「何が悪い!...こうやって社会が成り立ってるんだよ」

副署長「はぁ」

署長 「大体君さえ黙ってたらバレないんだから」
副署長「...」

署長 「勿論君にも旨みは味わってもらうとして...」
副署長「...はい」
署長 「社会はね、理想じゃなく現実で成り立ってるんだよ」

副署長「はい」
署長 「そしたら、課長をそろそろ起こして...」

副署長「はっ」

署長 「全く君たちには世話が焼ける..」
副署長「ひっ!!」

署長 「どうした!?」




副署長「し、死んでる..」


余談:どこが苦渋やねん...

お断り
<登場上の団体、人物、事柄は全てフィクションでっせ>

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