2014/08/15

my Yuming #16 冷静と情熱のあいだ 〜松任谷由実作『稲妻の少女』より〜



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資料

松任谷由実「稲妻の少女」(Album『OLIVE』収録/1979)
Youtube



歌詞→http://www6.airnet.ne.jp/satoumc/cgi-bin/kashi.cgi?ARG1=0070&ARG2=09&PRIVATE=&KEY1=&KEY2=%A4%A8%A4%F3%A4%B8%A4%F3%A4%D5%A1%BC%A4%C9+

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女性各位



男には



女性に「こう言って欲しい」とか「言わせたい」願望があるのです、

知っているとは思うけど。



それがロマンチックなセリフであったり、またはとても卑猥な言葉であったり、しかし

それを言わされた女性にとってどちらが運が良くて、どちらが運が悪い、とは

男が勝手に断言しては駄目なのです。



だって、淫語を口にする事を快感に思う女性だって中には居るだろうから。

もちろん僕にも女性に言わせたい、言ってもらいたい言葉がありまして、



その一つが当曲の一節



何のたしにもならないことに ムキになれるあなたが 一番好き



である。



だいたいですよ

ボクだってさ、判ってんすよ、意味がないって事ぐらい。



自分がする事なす事全部に意味があると思ってないんすよ。

いやね、

全部意味があるに違いないと思ってやらなくちゃ駄目なのは解ってるけどさ。



でもね、そんなに肩張ってさ、事あるごとに「有意義な事やってる」って思ってても

終わってみれば意味のないことが多いってのが現実なんですから。



そんな時のさ、意味がなかったって判った時の、あのうなだれ様って言ったらさ、

そんな姿、見せれませんよ。



で、「でも、何か意味があったっしょ!」とかなんとか言いながら



現実に目を背けて自分に嘘ついたりするんすよ、自覚してる以上にショックを受けてる裏返しの様なものでさ。

でもそういう、【敗北】の連続の中でも少なくとも自分の愛する人には解っててもらいたい訳じゃん。



そういう時にさっきの、



何のたしにもならないことに ムキになれるあなたが 一番好き



なんて言われたら最高っしょ。



ずっと思ってたんだよね、こんなん言って欲しいなぁって。

でも、気づいたんです。



これって言い換えれば、



一番好きなあなたがやってる事でも足しにならないってことには変わりがない



って事でしょ。



僕さー、

素直じゃないんでー、意地悪なんでー、額面通りに受け取ってる場合じゃないのでー。



そう考えたらホント女性って冷たいっていうさー、ドライっていうかさー。



愛を誓い合っても結局は他人同士なんだなって、

この現実を見せつけられる虚脱感たるや!



でも、そもそも

この一節を果たして女男関の恋愛に当てはめてもよいかどうかは判んないんすけど。

タイトルも「稲妻の少女」ってあるのだけど



内容はやっぱ「恋愛」で。



恋愛してる女性に対するわたし(=女性)の視線。

ウインドサーフィンしては男を虜にしてる年下の女の子への。



その少女はウインドサーフィン出来るかどうか心配で

天気図に線を引いて台風の位置を確認するんですよ、

いつの時代やねんって話でなのですが。



制作年が1979なので、当時はそんなもんなんだろうか。

今だったらテレビやネットで簡単に確認出来るのに、あえてそんな事をするのは



相当なレベルの航海術を持った嫌味な女になってしまいます。



勿論、前者なんだろうけど。

ま、そんな事はどうでも良いのだけど



加えて、この曲の歌詞の注目点は



僕は

【わたしの、稲妻の少女への視線】だと思う。



年下の女の子を可愛いがる様な眼差しなんですよね。

同じ部活の一生懸命な後輩を可愛がる様な。

で、



この眼差しの客体である「稲妻の少女」は

Sexした相手でも次々にカットバック/スラローム、要するに“袖にする”程オトコ遊びが盛んなんですが



そんな年下のオンナを可愛く、面白く、清々しく思っている、ていう。

そんなあの娘に「お目にかかれない」と、いじらしく奉っては、自身は謙遜めいた言葉を使ってる辺り

その眼差しの自体も「可愛らしい」ですよね。



要するに、

そんな眼差しが出来るのは、少女と同じ様にモテるオンナだからであり



それは誰かというと、



ユーミン自身なのである。

《モテるオンナ》は同じ種類の、《モテるオンナ》をこういう風に見るんだ、と発見できるんです。



さて、今視て来た様に、歌詞全体は女の女に対する視線なのですが



前に書いた一節
なんのたしにもならないことに ムキになれるあなたが 一番好き

も、そんな可愛く思う少女に対するものなのか?



それとも



《わたし=ユーミン》の男性への盲目的な恋愛観を語ったものなのか?

もし、女に対するものであれば



“わたしにもそういうことがあるわ”という、同類への究極の共感=同感、である。



で、女って友達とか盟友に対して「一番好き」とか軽々しく口にしそうだし…。

女性あるある、である。一方で



恋慕・愛情という男女間の問題にも当てはめた場合、オトコはどん底に突き落とされます。

結局

「好き」という言葉が包含する恋、愛という情に溺れた末は



たとえ何の足しにもならないくだらない事をやってても「好き」になる時は「好き」になるんだけども

その、どんなに好きな人でもやってる事を冷静に判断してみて、くだらなければ、



それはくだらないのである。



冷静と情熱が出口なく永遠に輪廻している、っていうのが

結局、他人(ヒト)と他人(ヒト)が織りなす愛の真理の図絵なのであろう。



大体ね、ユーミンも残酷なんだよ。

メロディーも、日差しに煌めき輝く鎌倉の海岸を思わせる程、凄く牧歌的なのに

最後ああいう残酷な冷や水をぶっ込んでくるしさ、老人と愛の戦士なら死んでしまうような。。



そもそも言葉選びからして、

「何の意味もない」「何の為にもならない」っていう意味でなら

他に色々あんのにさ、

「何の足しにもならない」



って一番酷くない?

で、そんな言葉の後には「夢中」とか「熱中」じゃなくて

ちゃんと正確に「ムキになる」って言葉を持ってきてんだよ。



あなたの事は確かに好きよ。うーん、一番好きかも。うん!あなたことが一番好き!

でも、あなたがやってる事は何の足しにもならないんだよね。



でも好き」って、嬉しないわ!



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