ドギマギチェア 〜オープンカフェという悪〜

俺ね、

オープンカフェのイスの、あの向きって

ほんと《悪》だなって、いつも思ってて、

で、

正解あんの？っていつも心配してあげてんの。

いつもソレ探しながら人生送ってる、って云ってもいいくらい。

オープンカフェって、

俺的に、

なんか、もー、スゴいワケ。

道(を歩いてる人達)に向かって食事する、あの【感覚】っていうの？

【超感覚】っていうのかな。

あー、無理だな、って。

手持ち無沙汰感がスゴイの。

視てて、ドギマギすんの。

落ち着かない、っていうかさ。

端から視て、

例えば

道歩いてて、

オープンカフェが目に入ってくると、俺は

イスが落ち着く向きとか探してあげんの。

あ、でも

イス自体は落ち着いてるかも知んないから

正確に言えば

【俺が】落ち着くイスの向きね。

え、放っとけ、って？

確かにね。

自分で「興味ない」とか「無理」とか言ってる事なんだから、放っといたらいいんだけど。

でも、放っておけない、というか。

かといって

道を背にしてカフェるのも

なんか違うんだよなぁ。

そういう意味で

オープンカフェ、ソレ自体が

やっぱ

海外モンだな、って思うワケ。完全に。

ああいうのは、日本人にないセンスだと思う。

まぁ、

俺が日本人を代表して言ってるのもオカシイんだけど。

でもさ、あの

お茶とかデザートとか食べてるのを目の前を歩いてる人に見せてる感じ？

あれは、

歩いてる人にしてみたら

「いや知らんがな」だと思うの。

まぁ、俺の邪推なんだろうけどさ。

だから

花見とかもそう。

そこが花見スポットだとしても無理。

そりゃ、通行人が一人たりとも居てなくて、全員が全員

ブルーシートに座って飲んだり食ったりしてたらいいんだけど

でも、そんな訳いかないじゃん。

花見スポットなんだから、桜をただ視て歩いて楽しむ人もいる訳で、

そんな人にしてみたらさ、

ブルーシート広げて酒飲んだり食事されたら

きっと

「知らんがな」って思うと思う。

あと、あれ、

電車ん中のオンナの化粧ね。

化粧なんかさ

俺がもしオンナだったら、

食事とか排泄の、生理的行為と一緒。

だから、

電車の中で化粧する、なんて行為は

そこで性器を晒け出してウンコしてるのと同じなの。

よく出来るな、って。

確かに

周りに迷惑はかけてないんだろうけど、

やっぱ、目に入ると

「知らんがな」

って思う。

俺の中で、オープンカフェも

花見も

電車の中の化粧も

全部一緒なの。

食事とかウンコとか、

化粧もそう。

生理的行為の最中って、

文明的に生を営むニンゲンが

動物になる瞬間だと思う。

で、

それは醜いの。

そういう醜い姿はなるべくみられたくない、っていうのがあって、

そりゃ、

視られたら、その時はしゃーないけど、

でも、

同じ「視られる」にしても、

【視られてもいい】

っていうのと

【視せつける】

とでは違うくて、

そもそも、そこに別に存在しなくていい事なんでよね、

オープンカフェも花見も

電車の中の化粧も。

なくても別に困らない。

俺ん中の「世界中からかき集めた、別になくてもいいモノ」ベスト５に全部ノミネートしてるよ。

全然面白くないよね。

「別になくてもいいモノ」ってさ、

まぁ「別にあっても構わない」ワケなんだけど、

もし存在にするのなら

その次に大事になってくるのは

「佇まい」なんだと思う。

例えば、

アングルとか、

そーゆーの。

今、他に良い例えが思いつかないだけなんだけど。

そういう時にさ、

あの

『世界に直角に切り込むようなオープンカフェの向き』

だとか、

『パフで押さえてる時の顔の角度』とか。

窓を勢い良く開け放つように

世界に迫り出す悪意、っていうの？

そう、

《悪》だよ、アレ。

ここに一つ、窓があるとして、

もし、

勢い良く開け放たれたって時にさ、

窓開けた奴と

たまたますぐ外に立ってる誰かが居たとしたら、

俺はね、

その、たまたまそこに居てた何も知らない、無垢な通行人の方。

俺は、その人の身になって

なんか考えてしまうんだよね。

で、

思うワケ、

「いや…見せられても」って。

「知らんがな」って。

冷酷な目で。